テーマ32 管理職者が持つべき実務の3つの視点
■会社全体の視点と担当部署の視点
管理職者は担当部署の一国一城の主でもありますが、
会社全体の中では、組織構成員の一人という、
両面を持った難しい立場でもあります。
仕事を遂行していくにあたって、
まず、重要なのは、会社の経営トップの意向ということになります。
よく、経営者の方から聴くお話ですが、突発的に入ってきた仕事に対処しようと、
各部門の長に、社長の方から仕事の依頼をすると、
自分の部下をかばうというか、部下から苦情を言われるのがいやなため、
これ以上は無理と一方的に、各部門の長である管理職者が断ってくるといいます。
仕事の依頼をする社長も各部門の状況は、
充分承知の上で、依頼をしている訳ですから、本来であれば、
自部門だけではなく、他の部門と協力し合ってなんとかするなど、知恵を出すのが、
組織構成員の一人でもある各部門の長としての管理職者としての立ち位置となります。
自分の担当部署だけに目が行き、会社全体の視点を持たない管理職者は、
よい管理職者とは言えません。
常に会社全体の中での自部署のあり方、動き方を考えるという視点を持つことが必要です。
■業務遂行時に忘れてはいけないお客様の視点
お客様がエンドユーザーの場合でも、受託仕事の場合でも、
管理職者が、業務の効率化や生産性を考える場合の視点は、
お客様の期待水準は、どこにあるのかということになります。
5、4、3、2、1の5段階評価の場合、
3の基準は、お客様が例えば、1万円のものを購入して、
購入した商品が1万円相当と判断した場合となります。
3の評価の場合は、同じ1万円でも、もっと品質が良い企業や
同じ品質でも1万円より安い価格で提供する企業がでた場合は、
お客様は、すぐそちらの方へ流れてしまします。
お客様の信頼を勝ち得て、長く取引をしてもらうためには、
常に、4以上の商品をお客様に提供し続けることが必要となります。
これがお客様の購入後の満足度となり、お客様の心を動かすことができ、
感動客となって頂き、リピート客となって頂けることになります。
管理職者は、4以上の仕事をするにあたって、お客様の期待水準は、
どこにあるのかを見極めることが重要です。
過剰品質でもいけません。自社の生産性の悪化の原因ともなります。
また、お客様から提出される仕様が同じでも、
お客様の期待水準も世の中の変化と共に変わってきているものです。
そこに気づかずに、新たな付加価値を加えた、新しい提案をせず、
以前と同じものを提供し続けるのは危険です。
■部下指導育成時における細やかさの視点
部下が仕事をしていて上司に対してストレスを感じるところや不満をもつところに、
「上司が枝葉末節なことばかりを指摘する」、「普通で済ませてもよいことを過激に行おうとする」
「自分の好みに合うように、文章の言い回しやてにをはを細かくチェックし、書き直しをさせる」
などがあります。
部下に対して、細部の所での指導をするときには、下記の2つの視点が必要となります。
・こだわるべき細部とそうではない細部をついて、なぜそうなのか部下にきちんと説明すること。
・部下の仕事をチェックし、注意するときは、部下の成長を常に意識し、温かい気持ちで接すること。
上記の視点を持たずに、部下に対し、細かいところばかりの指摘をすると、
部下のモチベーションを下げる結果となってしまいます。
また、毎朝、会社に来た時の部下の顔色や挨拶時の声の様子、
日中の様子など何か普段と変わったところが無いか、日々観察することも重要です。
対処が手遅れになると、退職とか、休職とか大きな問題に発展することがあります。
日々観察していると、部下の心の状態が、態度になって表れているのが分かります。
管理職者として、細かいと細やかさの違いを意識し、部下指導にあたることが必要です。
管理職者は、日常の実務において、会社全体の視点、業務遂行時の視点、部下指導時の視点の
3つの視点を常に持ち合わせることが重要です。
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